Abstract

白神山地・津軽十二湖湖沼群の王池流出河川で,捕食寄生が知られているヤドリハモンユスリカPolypedilum kamotertiumと宿主であるシマトビケラ類(ウルマーシマトビケラHydropsyche orientalisおよびコガタシマトビケラ属Cheumatopsyche spp.)を中心とした底生無脊椎動物群集の動態を調査した。ライトトラップによる採集では,調査河川から61種を超えるユスリカ科成虫が確認され,このうちヤドリハモンユスリカが最も優占した。ヤドリハモンユスリカ幼虫のシマトビケラ蛹への寄生は,シマトビケラ類の蛹や成虫の出現期間と同じ5月から9月まで継続的に起こっていた。この点から,ヤドリハモンユスリカの生活史は,宿主であるシマトビケラ類の生活史に強く依存しているものと推測された。調査河川におけるシマトビケラ類の蛹への寄生率は8~32%にものぼることから,ヤドリハモンユスリカの寄生はシマトビケラ類の個体群に大きな影響を与えていると推測された。

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