Abstract
本研究では、算数障害という用語の内容や範囲について明らかにするために、主として米国における学習障害の法制度上の位置づけと教育的アプローチにおける算数障害のとらえ方、内外の学習障害研究の枠組みの中で論じられる算数障害のとらえ方、日本で実質上学習障害の診断に重要な国際的な医学的診断基準における算数障害のとらえ方について概観した。その結果、それぞれの視点によってこの用語が指し示す内容や範囲が不明確で多義的であることが明らかとなった。わが国においても、学習障害に関する制度上の位置づけが検討されているが、改めて算数障害という用語を明確に規定する必要があると考える。算数障害という用語の定義は、発達的視点を導入すること、計算障害のみではなくより広い概念としてとらえること、下位分類においては、認知障害の特徴に対応した指導へつながるような情報処理的観点を含めることという3点が重要であることが指摘された。
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