Abstract

北陸地域において早生で極良食味の水稲新品種「つきあかり」は,同熟期の「あきたこまち」に比べて10%程度の多収を示す品種として栽培地域が拡大している.本研究では北陸地域での成熟期の諸形質の解析を通じ,「つきあかり」の多収条件を明らかにしようとした.2017~2019年の3年間で計47区の調査を行った結果,「つきあかり」における精玄米重は750 g m–2程度で頭打ちになった.また精玄米重750 g m–2の多収を達成し得る収量構成要素の理論値を,精玄米重や単位面積あたり籾数,その他の収量構成要素との有意な相関関係から算出したところ,籾数は35.7千粒 m–2,穂数は423本 m–2,登熟歩合は83.8%,千粒重は25.1 gであった.地上部窒素吸収量は14.0 g m–2であった.登熟期に異常高温であった2019年を除いた2017年と2018年の単位面積あたり籾数と整粒歩合との負の相関関係より,籾数の制御は高い外観品質の維持に重要であり,籾数35.7千粒 m–2のとき,整粒歩合は72.5%,玄米タンパク質含有率は7.1%であった.また精玄米重750 g m–2のときの稈長は80.4 cmであり,稈長を80㎝程度に制御することは倒伏の回避に重要であることが分かった.以上の結果より,北陸地域において「つきあかり」は登熟期の異常高温に遭遇しない限り,精玄米重750 g m–2の多収かつ整粒歩合70%以上,玄米タンパク質含有率7.0%程度の高品質なコメを倒伏を抑えつつ栽培することが可能な品種であることが示された.

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