Abstract
本研究では,アメリカン・コミュニティ・サーベイの2009~2013年の個票データを用いて,アメリカ合衆国で暮らすアジアの7カ国(日本・韓国・台湾・インド・中国・ベトナム・フィリピン)生まれの既婚女性の長期雇用を対象とした多変量解析を行った.その結果,既婚日本人女性の長期雇用割合は,アジアの7カ国出身女性の中で最も低く,そのことは七つの説明要因の効果を調整した上でも,妥当していることが判明した.また,(1)3歳以下の実子がいる,(2)短大卒の学歴がある,(3)夫が高収入である,といった条件をもつ既婚女性の間では,日本人女性でこの割合が著しく低い傾向にある.アメリカ合衆国で暮らす日本生まれの日本人の夫が高い長期雇用割合を示すとともに,日本人の妻の雇用パターンは,(1)人間関係における母性原理という慣習,(2)集団意識としての「場」の共有,を強く選好する日本的価値規範に根差している,と解釈できる.
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