1. 常型 (AABB) 矮型 (aaBB) に屬する玄米の鞘葉の生長を其先端に於ける生長素形成及びヘテロアウキシン稀薄溶液に依る生長促進の二つの立場から檢討した。2. 30°C, 飽和濕度, 暗所で育成した鞘葉に就て其先端 2mm に於ける生長素形成をAvena test に依り測定した結果に依ると, 稻の鞘葉先端の生長素形成能は鞘葉の年齡の増加と共に急激に下降し, 發芽7日目では實際的に認められぬ程度になる。3. 發芽の經過に伴ふ鞘葉の生長素形成能の低下は常型よりも矮型に於ける方が明かに急激である。且つ後者では或時期に有效生長素量の減退が起る樣である。4. 發芽前に種々の濃度のヘテロアウキシン溶液に30時間浸漬した結果に依ると,稻の鞘葉の生長は液の濃度が適度の場合には促進され (約0.0025%), この濃度を遠ざかるに從ひ抑制される。5. 最適濃度に於ける生長増加の割合は常型よりも矮型に於ける方が明かに顯著である。この事實は既述の鞘葉先端に於ける有效生長素形成量の兩型間に於ける相違と何らかの關係があるものと考へられる。
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