- Research Article
- 10.1626/jcs.94.252
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Yoshiya Shinoto + 1 more
東北地域の水田転換畑での子実トウモロコシ栽培では,高速作業体系であるプラウ耕の導入が適期作業や面積拡大において有効である.そこで,本研究では岩手県中央部の水田転換畑での現地実証試験においてプラウ耕で栽培した子実トウモロコシについて,栽植密度7000本10 a—1を得るための播種機の設定,収量800 kg 10 a—1を得るための収量関連形質と砕土率および苗立ち条件を解析した.苗立ち後の栽植密度は播種機で設定した栽植密度より3カ年平均で13%少なく,栽植密度7000本10 a—1を得るには播種機での設定播種密度を7000本10 a—1より約5%高める必要があると考えられた.収量800 kg 10 a—1は排水良好圃場のみで得られ,排水不良圃場では得られなかった.排水良好圃場において全刈収量800 kg 10 a—1を得るために必要な坪刈収量を900 g m—2に設定すると,粒数3161粒 m—2が必要であり,粒数3161粒 m—2には苗立ち率91%の確保が求められ,苗立ち率91%の確保には砕土率66%以上の確保が必要であった.以上の結果,水田転換畑においてプラウ耕で栽培した子実トウモロコシで目標収量800 kg 10 a—1を得るには,排水対策を徹底して排水良好な圃場の確保を大前提として,粒数を確保するために,苗立ち率と砕土率の確保が必要であることが示された.さらに,適切な栽植密度を得るためには播種機の設定栽植密度を目標とする栽植密度より高める必要性が明らかとなった.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.326
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- 明俊 後藤 + 4 more
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.331
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- 裕一 長﨑
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.312
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Shogo Tsuda
バレイショの収量構成要素は塊茎数と塊茎平均重であり,増収のためにはそれらの収量構成要素を高める必要がある.植付け前の種いもへのジベレリン(GA)処理によって収穫期の塊茎数が増加することが知られているが,塊茎平均重は低下するため,収量は増加しない.一方,ジャスモン酸には塊茎肥大を促進する作用があることが知られている.そこで,本研究ではジベレリン処理に加えてジャスモン酸の誘導体であるプロヒドロジャスモン(PDJ)処理を行うことによって,バレイショ収量が増加するかを検討した.品種は塊茎数が多い個数型の男爵薯と,塊茎数が少ない個重型のトヨシロを供試した.GAは植付け前の種いもに10 ppmで浸漬処理を行い,PDJ処理は塊茎形成期に100 ppmから200 ppmを葉面散布した.その結果,いずれの品種においてもGAとPDJを組合せ処理した区では追肥区並みに収量が増加した.品種間差異としては,男爵薯では比較的小粒の塊茎数の増加,トヨシロでは比較的大粒の塊茎数が増加する傾向が認められた.また,GAとPDJを組合せ処理した区ではGA処理と追肥を組合せた区や,PDJを単独処理した区に比べて安定した増収効果が認められたことから,GAとPDJは塊茎肥大に相乗的に作用する可能性が示された.また,GAとPDJを組合せ処理した区では追肥区と比べて澱粉価の低下も少なかった.以上より,ジベレリン(GA)およびプロヒドロジャスモン(PDJ)を組合せた処理は追肥に代わる増収技術となり得ると考えられた.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.323
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Hiroyuki Kato + 4 more
ダイズの収穫適期(茎含水率50%以下)を生産現場で簡易かつ迅速に判断する手法として,抵抗式水分計 MR55の活用を検討し,その計測値を用いた回帰モデルおよび分類モデルによる予測精度を評価した.MR55による全茎計測は,茎含水率の予測精度が高く,収穫適期判定においても優れた分類性能を示した.また,主茎上部のみの計測においても,全茎計測と同等の茎含水率の予測精度を示し,さらに分類精度は全茎計測を上回る結果を得た.本手法は,茎の細断を必要とせず,少ない計測回数で収穫適期の判定が可能であることから,現場での迅速な茎含水率測定および収穫適期判定の実用的な手段として有望であると考えられる.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.263
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Satoshi Nakano
ダイズ生育・収量予測モデルの適用品種の拡大に向けて,「ユキホマレ」,「里のほほえみ」,「サチユタカ」の3品種に対するモデルの推定精度を評価した.品種の差異は早晩性の違いとして発育予測モデルの品種パラメータに組み込んだ.茨城県つくばみらい市において,2017年と2018年に各年2回の播種期を設定し,上記の新規3品種を含む国内主要5品種を栽培した.子実肥大始期に地上部全乾物重,成熟期に子実乾物重および茎・莢ガラ乾物重を取得し,モデル推定値と比較した.また,出芽期~子実肥大始期までの平均群落植被率および平均日射利用効率,成熟期における収穫指数を算出し,モデル評価に用いた.新規3品種における2017年の子実乾物重の推定精度は,二乗平均平方根誤差の相対値(rRMSE)で15.8%であり,既報と比べても十分な精度であった.ただし,「ユキホマレ」では,モデルが子実肥大始期の地上部全乾物重を過大評価,成熟期の収穫指数を過小評価する傾向がみられ,発育以外の部分でモデルの調整が必要であることが示唆された.一方,ダイズ生育期間における降水量が少なく干ばつ条件であった2018年では,新規3品種における子実乾物重のrRMSEが60.1%となり,モデルは実測値よりも大きく過大評価した.モデルによる過大評価は,出芽期~子実肥大始期の平均群落受光率および成熟期の収穫指数でみられており,これらの形質において土壌水分ストレスを考慮したモデルへの改良が必要と考えられた.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.219
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Yumi Shimazaki + 2 more
北陸地域では六条オオムギの穂下部小穂が不稔となる現象が知られ,この地域の減収要因の一つであると指摘されている.冬作物であるオオムギは,冬期に幼穂の分化が開始する.積雪地においては,積雪の有無によって幼穂分化期間の環境が大きく変わる.下部不稔小穂数などの穂の形態が栽培環境によって異なる機構を明らかにする端緒として,本研究では幼穂分化期間を異なる環境で過ごした六条オオムギの成熟期の穂の形態が異なることを確認し,その要因を最大小穂原基数に着目して考察することを目的とした.試験は穂下部小穂の不稔が多く発生する新潟県上越市と対照とした岩手県盛岡市で3作期行った.異なる6つの環境で栽培した六条オオムギの穂は全小穂数や下部不稔小穂数,最大小穂原基数が有意に異なり,下部不稔小穂数はいずれの年も上越が盛岡よりも多かった.最大小穂原基数は幼穂分化期間の積算気温と有意な正の相関が,小穂分化速度とは負の相関があった.小穂生存率は最大小穂原基数と負の相関が認められ,最大小穂原基数が多い程退化小穂数,下部不稔小穂数が増えることで小穂生存率が低下したことが明らかとなった.上越で盛岡よりも下部不稔小穂数が多かった原因は,上越は盛岡と比べて幼穂分化期間の積算気温が高く最大小穂原基数が増えたものの,小穂生存率も低下したため,下部不稔小穂数が多くなったと考えられた.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.230
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Kazuhiko Fujisao + 2 more
日本の農業においては生産者数の減少と農地の集積が進み,大規模経営体が多数の圃場を管理する状況にある.多数の圃場を管理するためには衛星画像の活用が有用と考えられる.ダイズ栽培では湿害が重要な減収要因の一つであり,衛星画像の解析から被害が大きい圃場を把握し,優先して排水対策を行うことで生産性が改善されると考えられる.しかし,湿害の発生しやすいダイズの初期生育は梅雨時期に当たり,可視と近赤外の波長域を撮影する衛星では地上部が雲に遮られることでダイズの生育評価が行えない懸念がある.そこで,本研究では無料で使用可能なSentinel-2,撮影頻度が高いPlanetScope,雲を透過してセンシングが可能な合成開口レーダーで撮影を行うSentinel-1の3つの衛星を対象とし,ダイズ圃場の生育評価における実用性を検討した.この検討を行うために2021年から2023年に調査を行い,ダイズの被覆率の推定精度と,被覆率の推定が可能であった圃場数を比較した.この結果,Sentinel-2とPlanetScopeはダイズの被覆率の推定精度が高く,湿害による生育低下を良く把握できると考えられた.一方で,Sentinel-1はダイズ被覆率の推定精度が低かったものの,生育評価が可能であった圃場数はいずれの年でも相対的に多かった.PlanetScopeは撮影頻度が高く,Sentinel-1と同等数の圃場の生育評価を行えた可能性があり,有用だと推察された.しかし,PlanetScopeとSentinel-2は天候の影響により,年次間での撮影状況が大きく変動したと推察され,撮影状況の安定性に課題を残すと考えられた.また,Sentinel-1での利用では推定精度の向上が必要だと考えられる.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.279
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- Yoshiya Shinoto + 4 more
東北地域では,担い手の高齢化や減少と長引く米価の下落により水稲栽培での省力低コスト栽培が求められ,プラウ耕鎮圧体系乾田直播(プラウ耕乾田直播)の栽培面積が広がりつつある.しかし,プラウ耕乾田直播で多く使われている肥効調節型窒素肥料は今後,環境への影響から使用が難しくなることが想定される.そこで,本研究では寒冷地のプラウ耕乾田直播栽培において堆肥と尿素による窒素単肥体系(単肥区)が水稲の生育および収量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.岩手県盛岡市の多湿黒ボク土水田において「あきたこまち」を用いて肥効調節型窒素肥料を用いた慣行施肥体系と単肥区を比較したところ,苗立ち,生育および全刈収量に有意差は認められなかった.「つきあかり」を用いて農家圃場で実施した現地実証試験(岩手県花巻市,宮城県大崎市)の単肥区では,苗立ち本数は100本 m—2以上であり,全刈収量は平均で600 kg 10 a—1以上であった.さらに,全刈収量と1穂籾数,全刈収量と登熟歩合,総籾数と千粒重にはそれぞれ正の相関関係が認められた.以上の結果,寒冷地のプラウ耕乾田直播における堆肥と尿素による窒素単肥体系では,肥効調節型窒素肥料を用いた慣行体系と比較して水稲の生育および収量が同程度であることが多湿黒ボク土水田で明らかとなり,現地実証試験で概ね600 kg 10 a—1以上の多収が示された.このとき,収量の安定には1穂籾数の確保に加えて,登熟歩合を確保しつつ,総籾数と千粒重の確保の両立が重要であると考えられた.
- Research Article
- 10.1626/jcs.94.329
- Jul 5, 2025
- Japanese Journal of Crop Science
- 佑 田中 + 1 more