Abstract

患者に, 輸血を含めて医療行為を行うには, 原則的に, 患者本人の承諾が必要である. 患者の承諾のない医療行為は一般に, 法的に違法, 倫理的に不当である. この医療行為の承諾の場面では, 患者の判断能力が要求される. 患者に判断能力があることは, 承諾が法的, 倫理的に有効であることの必要条件である (ただし, 十分条件ではない) . 輸血の可否を判断するのは誰なのか, という点に関する法的, 倫理的ルールはきわめて簡単・明瞭である. 患者本人に判断能力があれば, 当然に本人が輸血を受けるか否かの判断-意思決定-をする. したがって, この場面では代行判断者が登場する余地はない. また, ここでは, 医療側は, 判断能力のある患者の判断に反する医療行為を行うことはできない. 患者本人に判断能力がなければ, 本人に代わって 「代行判断者」 が代行判断をする. ここでは, 医療側は原則的に, その代行判断者の代行判断に従う必要がある. ただし, そもそも代行判断者は本人に不利益になる代行判断はなし得ない. 医療側が, 判断能力のない未成年の患者に, その親権者が拒否しても輸血を行うことは, それが患者本人の利益になる限りにおいて, あるいは少なくとも不利益にならない限りにおいて, 適法かつ正当である. 以上のように考えるならば, 15歳以上18歳未満であって, かつ, 判断能力のある患者が輸血を拒否する場合, 医療側はその拒否の判断に反して輸血を実施することはできない. 15歳未満であって, かつ, 判断能力のない患者の親権者が輸血を拒否する場合, 輸血をしないことがその患者の不利益になるならば, その親権者の輸血拒否の代行判断は法的, 倫理的に無効であるので医療側がその親権者の代行判断を無視して輸血してもそれは法的に違法ではないし, 倫理的に不当でもない. ここで, 親権者の代わりに親権代行者を立てる論理的な必然性はない.

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