漸近波線理論と差分法を用いた弾性波動のハイブリッドシミュレーション

Abstract

現在，水平方向にも不均質な媒質の弾性波の波動場計算では差分法が頻繁に利用されている。差分法は，アルゴリズムが簡単であり複雑な地下構造にも対応できるという利点を持つ。しかし，浅部に伝播速度の低い構造を持つモデルや広大なモデルに対しての計算には，計算時間や計算機のメモリなどの問題が生じる。一方，波線理論の計算は複雑な構造に対しては適用が難しいが，簡単な構造に対しては計算時間も小さく，計算を効率的に行うことができる。 本研究では，先に上げたようなモデルに対しての差分法の波動伝播計算に関する問題を解決するために，浅部の簡単な構造に対して波線理論を弾性学に応用した漸近波線理論を利用し，それ以外の領域に差分法を用いるという二つの手法を用いたハイブリッドシミュレーションを行った。このシミュレーション手法は差分法と漸近波線理論の両手法の利点を生かすことができ，今後複雑化することが予想される資源探査にも応用できると考えられる。