Issues of brain-death diagnosis in Japan compared to the world consensus: children including neonates, qualifications and education, documentation, religion, and the law

Abstract

2020年8月，脳死判定に関する国際コンセンサスが発表された。本稿では，小児，教育，記録，宗教，法律に関する事項について本邦の現状と対比して概説する。小児の問題点は，国際コンセンサスでは新生児も脳死/神経学的基準による死（brain death/death by neurologic criteria, BD/DNC）判定の適応になるが，本邦では生後12週以降でないと適応とならないことにある。教育の問題点は，判定医に対する教育体制が整っていないこと，また，医療者と一般市民のそれぞれに，脳死や臓器移植に関する教育が施されていないことにある。記録に関しては，補助検査に関する記載も必要であり，国際コンセンサスを参考に作成したチェックリストを紹介する。宗教の観点からは，多様な背景・考え方を理解して患者と家族を支援する必要がある。国際コンセンサスと本邦の現状を比較した際に，最も大きな問題点はBD/DNCと判定した患者を死亡と認めるかどうかにある。各観点から問題点を整理し，本邦でどのように対応していくべきか議論を進める必要がある。