Abstract
胆道癌は,胆管癌,胆嚢癌,乳頭 部癌からなる.リスク因子として, 胆管癌が胆管拡張型膵胆管合流異 常,原発性硬化性胆管炎,胆嚢癌が 胆管非拡張型膵胆管合流異常などの 疾患が挙げられる.胆管癌の初発 症状は90%が黄疸である.一方,胆 嚢癌は,右上腹部痛.乳頭部癌は,黄 疸,発熱,腹痛が初発症状として多い. 胆道癌を疑った場合,診断のファ ーストステップとして,血液生化学 検査と腹部超音波検査を施行する. 肝胆道系酵素上昇,胆管拡張を認め た場合は,胆道癌の存在が疑われる ためさらに画像で存在診断をすすめ ていく.なお,胆道癌では,CA19-9 が50~79%,CEAが40~70%で上昇 するが,補助診断として考えるべき であり,特に,閉塞性黄疸例では腫 瘍ではなく,黄疸により上昇し,ド レナージ後低下する症例があるので 注意を要する.また,胆管癌,乳頭 部癌では,比較的早期の段階で,黄 疸,血液検査異常を伴う場合も少な くないが,胆嚢癌は進行癌になるま で無症状であることが多い.しかし, 一般的に偶然存在を指摘されない限 り,診断時には進行例が多く,早期 診断は今後の課題と思われる. 診断のセカンドステップとして, 造影CT,MRI,MRCPを施行し, 胆道癌の存在を強く疑う所見を認め た場合,確定診断,病期診断のため 内視鏡的逆行性胆管造影(ERC), 胆汁細胞診,擦過細胞診および超音 波内視鏡検査(EUS)を行う.硬化 性胆管炎などの良性胆道狭窄との鑑 別や進展度診断が困難な場合には経 口的胆道内視鏡(POCS)による精 査も有効である.特に肝門部胆管 癌では進展範囲診断が術式に影響を 与えるため精度の高い診断技術が要 求される. 胆道癌診療ガイドライン 藤 井 雅 邦*,河 本 博 文,山 本 和 秀
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