Abstract
水稲の分げつの発育に及ぼすサイトカイニンの影響を知るため, 水稲を水耕栽培し, 光強度, 窒素濃度などが異なる条件下でカイネチンを水耕液に加えて根から吸収させ, 植物体の生長, 分げつの出現率, 葉齢, 長さなどに対する影響を観察した. また, 異なる要素根からカイネチンを吸収させた時の影響の差異について観察した. 草丈, 苗齢, 葉長などは光強度, 窒素濃度, 吸収要素根を問わずカイネチンによって抑制され, 根数, 根長も少数の例外を除き抑制された. 分げつに対する影響は光条件によって大きく異なり, 自然光下ではカイネチンが分げつ数の増加を抑制し, 分げつの葉齢や長さに対しても一部の例外を除き抑制の傾向を示したが, 遮光下では分げつ数の増加を促進し, また分げつの葉齢や長さにも顕著な促進を示した. 遮光下で出現率が小さかった第2節, 第3節分げつは, カイネチン処理時既に発育を停止していたとみられるが, このような分げつ芽に対しカイネチンが発育を促進して出現率を高めた. 異なる要素根からカイネチンを吸収させても各節分げつに対する影響にはほとんど差異がなかった.
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