Abstract

圃場における散布農薬の地表流出状況を把握するため, 降雨条件等を制御した小規模な屋内モデル試験系を検討して確立した. 傾斜5度にした大型コンテナ容器 (0.7m2) に作土層の土壌を充填した試験区を設定し, 人工降雨装置 (可変降雨強度: 10~80mm/hr) を設置して, 各降雨条件下で表流水を発生させた. 試験区にTPN, ダイアジノン, ジメトエートの混用液を散布した後, 圃場 (840m2) で表流水が発生した降雨条件を再現した結果, 圃場とほぼ同じ流出水量 (l/m2) が得られた. そして農薬の水中濃度および流出率を測定した結果, 圃場測定値とほぼ一致した. また, 本試験系を用いて各降雨強度による表流水の発生条件を明らかにした. 圃場の降雨データから得られた発生予測水量は実際に得られた水量よりは高めであった. また, モデル試験 (降雨30mm/hr, 表流水1l) では, 薬剤散布後の日数 (1~21日) の経過とともに3農薬の水中濃度は著しく低くなった. 作物栽培区と無作物区における表流水中の農薬濃度および流出率を比較すると, 作物の有無による相違はわずかであった.

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