Abstract

2002年3月から5月にかけて、那覇、福岡、名古屋、つくばの4地点で風送ダスト試料を採取し、その非水溶性成分中の化学組成を測定した。ほとんどの元素は、その粒径分布の特徴として2.1~7.0μmの粒径に一つのピークを示すことから、主に鉱物エアロゾルに含まれていると考えられる。しかし、Cd, Sn, Sb, Pb, Biなどの元素は1μmよりも細かいダスト粒子に多く含まれ、人為起源の炭素エアロゾルに由来すると考えられた。 Al2O3濃度で各元素濃度を規格化した値の粒径分布の特徴から、風送ダスト中の鉱物組成は1μmを境に変化し、2μmより細かい粒子では人為起源物質の混入率が高くなることなどが明らかになった。次に、Al2O3規格値の空間的及び時系列的な変化に着目すると、一部の元素に系統的な地域差、すなわち観測点周辺からの物質の混入が認められた。しかし、一度ダストイベントが発生すると、ほぼすべての元素の濃度比は試料採取地点に関係なくほぼ一定の値を示し、非常に大量の風送ダストが東アジア地域から日本へ運ばれていることが明らかになった。

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