巨大な膿瘍形成性虫垂炎に対して保存的治療後に腹腔鏡下虫垂切除術を施行した1例(A case of appendicitis with huge abscess underwent laparoscopic interval appendectomy after conservative treatment)

Abstract

要旨非穿孔性虫垂炎はしばしば経験する疾患であるが，その治療においてストラテジーは確立されておらず，保存的治療，外科的治療の優劣も十分評価されていないのが現状である。今回我々は，長径100mmの巨大な膿瘍形成性虫垂炎に対しドレナージを行わずに保存的治療を行い，後に待機的腹腔鏡下虫垂切除術（interval laparoscopic appendectomy: ILA）を施行し良好な経過を得ることができた。膿瘍形成性虫垂炎に対しILAで治療を行った報告は散見されるが，100mmの巨大な膿瘍形成性虫垂炎に対する報告は稀である。ILA適応基準など，既出の文献等を参考にし,自験で得た考えを提唱し報告する。症例は69歳の男性。10日前に腹痛を主訴に他の診療所を受診し，ニューキノロン系の抗生剤を処方され内服していたが軽快せず，病院受診を勧められ，右下腹部痛を主訴に当科を受診した。当科受診時に右下腹部から一部は正中に達する腹腔内の巨大な硬結を触知し，膿瘍形成性虫垂炎と診断し保存的治療を行った。約4か月後にILAを行い，術後4日目に退院した。