Abstract

鉄鋼業においても他産業と同様,成長が著しい新興国での省エネ・CO2削減の重要性が認識されている中,日本鉄鋼業が主導して2013年3月に策定された,製鉄プロセスから発生するCO2排出のパフォーマンスを把握するための方法を定めた「ISO14404」が,新興国鉄鋼業の省エネを推進するツールとして大きな役割を果たしている。ISO14404は特別な計測機器等を必要とせず,粗鋼生産量,原材料購買量・販売データなど,通常の操業データのみで簡単にCO2原単位を計算できるという特徴がある。またISO14404では,製鉄所からの実CO2排出量ではなく,製鉄所外で製造された中間材を作る際に排出されたCO2も「間接排出」として製鉄所内で製造された場合と同様にカウントする手法を取っている。鉄ができるまでには複数のプロセスを経るが,製鉄所によっては,一部のプロセスを外部からの中間材の購入で賄うため,製鉄所からの実CO2排出量のみに注目すると,外部購入資材の割合が大きいほどCO2排出量が少なく見えてしまうが,「間接排出」の導入によってこれを補正して,製鉄所の効率を正しく評価することができる。ISO14404は,第一に日本の鉄鋼業が世界最高のエネルギー効率を誇ることを「見える化」するための手段として,第二に新興国鉄鋼業での省エネ推進のツールとして,そして第三に日本のインフラ輸出を後押しするものとして,大きな役割を果たしている。日本鉄鋼業は1970年代以降のたゆまぬ省エネ努力により,優れた省エネ技術(ハード)を有しているが,ISO14404(ソフト)とハードをパッケージ化して国際展開することにより,「日本鉄鋼業の省エネ技術の海外展開」を後押しし,「日本の技術による気候変動対策への貢献」の拡大を目指している。

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