Abstract
2004年以降の原油価格は高値が推移している状況,さらに原子力発電所70基で総需要の40%のエネルギを賄うとするエネルギ行政が今回の3.11の東日本大震災により根底から見直さざるを得ない状態より,バイオマスボイラによる発電は発電方式の多様化にも寄与するもので,我国にとっては貴重な発電形態である。しかしながら,このようなバイオマスボイラとその補機に発生している腐食・摩耗に因る問題は稼働率低下,コストアップ等の企業経営課題を引き起こしていると言え,当社は保有する要素技術をベースにバイオマスボイラの耐食・耐摩耗策を試行している。本稿では,限られた事例ではあるが,火炉における水管の損耗現象とその対策として,「ボイラ水冷壁パネルの損傷事例とその対策」,「バイオマスボイラにおける減肉現象とその対策」を紹介。バイオマスボイラ水冷壁用肉盛溶接材料と肉盛溶接部の特性に関する知見を具体的に説明した。また,燃料の性状が変わり,運転当初は予測していないような腐食が進行し始めた場合など,既存の水冷壁の損傷を防ぐために,現地での肉盛による表面改質が費用対効果で優れていると考えられる。当社ではそういったニーズに応えるために,施工方法の新たな試みとして,現地施工用の小型自動肉盛溶接装置を開発した。現在,試験的にAlloy625の肉盛を実施し,その効果を検証しているところである。
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