Abstract
盲ろう児の言語発達における基本的諸問題について、先行研究の整理を通して検討した。盲ろう児の発達遅滞は、第1にあらゆる外部情報の不足、第2に言語的経験の不足、第3に知的・情緒的発達の遅滞という三つの層からなる構造を持っていると思われる。そして、これら三つの層の遅滞を克服するためには、とりわけ、第2の層に関わる困難に取り組むことが重要だと考える。また、触覚を用いた探索行動と、「身振り語」の使用は、初期の言語発達を促進する上で、本質的な要因だと考える。次に、盲ろう児の言語発達における「読み」の教育の意義と困難さについて述べたが、これまでのこの分野の研究はほとんど行われていない。盲ろう児に対する「読み」の教育は想像力の発達と密接な関連を持っている。そして、「読み」の教育は、次の諸点を考慮しつつ構想されるべきだと考える。それらは、1.「読み」の理解を助けるための手段、2.「読み」の素材、3.素材と盲ろう児の経験との関係、4.盲ろう児の経験の質、についてである。
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